【行政書士試験の内容と出題 2021年最新版】 行政書士試験の受験を迷っている方に現役行政書士が試験内容と出題形式を解説

【行政書士試験の内容と出題 2021年最新版】

「行政書士試験ってどんな試験内容試験日は?出題形式は?受験資格は?」行政書士試験を受験しようかどうか迷っているあなたに、このコラムをお勧めします。【行政書士試験】は学歴、年齢、国籍に関係なくどなたでも受験できる国家資格です。法律系国家資格の登竜門である行政書士試験の内容と出題形式を現役行政書士が解説します。

☑このコラムの信頼性

このコラムはタスクマン合同法務事務所代表、社労士・行政書士の井ノ上剛(いのうえごう)が責任をもって執筆しています。行政書士試験は平成11年度合格です。プロフィールの詳細はコラムの末尾をご参照ください。

☑このコラムは次の方を対象に書いています。

行政書士試験にチャレンジしようかどうか迷っている方
行政書士試験の内容と出題形式を理解しておきたい方
試験内容と出題形式を見て、行政書士試験を受験するかどうか決めたい方

行政書士試験には「受験資格」が設定されていません。つまり行政書士試験は学歴、年齢、国籍に関係なく誰でも受験することができる国家資格です。受験申し込みの受付は毎年7月下旬~8月下旬に行われ、試験日は毎年1回、11月の第2日曜日です。

合格に必要となる正答率は60%、300点中180点です。
>>行政書士試験の難易度については、こちらコラムをご参照ください。

合格率は概ね10%前後です。
>>行政書士試験の合格率については、こちらのコラムをご参照ください。

このコラムでお伝えしたいのは次の内容です。

それでは始めましょう。

行政書士試験/法令 五肢択一式

最初に行政書士試験の法令科目、五肢択一式から解説します。行政書士試験で出題される法令科目は憲法、行政法、民法、商法、基礎法学で構成されます。ちなみに「行政法」とは次の法律の総称です。

行政手続法
行政不服審査法
行政事件訴訟法
国家賠償法
地方自治法

また基礎法学とは「法律を学ぶ上での基礎的な事項」です。

行政書士試験の「法令科目の五肢択一」は、「5つの選択肢から1つ選んで回答する」というもので、合計40問出題されます。

1問あたりの配点が4点で、40問出題されることから配点は160点にも上り、全体300点満点の53%に相当します。

このことからも分かる通り、法令科目の五肢択一は行政書士試験の中核をなすものです。

法令科目 五肢択一出題例

憲法の表現の自由に関する次の1~5の記述のうち、誤っているものを1つ答えよ。

(選択肢1~5記載省略)

五肢択一ということで、全く分からない問題が出題されても、平均20%の確率で正答できるわけですが、法令科目の五肢択一でどれだけ正答を稼げるかが、行政書士試験の合否に直接影響するものと言えます。

行政書士試験/法令 多肢択一式

次に行政書士試験の法令科目、多肢択一式について解説します。行政書士試験で出題される「法令」は先にご説明した五肢択一と同様の、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学です。

行政書士試験の法令科目、多肢択一では、1問あたり600文字程度の文章に対して[ア]~[エ]の4つの部分が空白になっています。

その4つの空白部分を、20ある項目から選択して埋めていくという問題です。

[ア]~[エ]につき各2点配点され、4つあることから8点。これが合計3問出題されるため、配点は24点となります。

法令科目 多肢択一出題例

次の空欄[ア]~[エ]のに当てはまる語句を、選択肢(1~20)から選びなさい。

親の遺産について、死後の相続方法の指定を行うためには遺言制度を活用する。数種の遺言制度の中でも[ ア ]については、その作成過程により一定の正当性が担保され、また原本が[ イ ]に保管されるため、偽造の余地がないという点で、最も信用性の高い方法であると言える。

しかし[ ア ]にも限界点がある。[ ウ ]の問題と二次相続、三次相続の問題である。

つまり、[ ア ]によって相続分の指定を行ったとしても民法で法定相続人に保証されている[ ウ ]は侵害することができない。法定相続人には、本来の法定相続分の1/2が保証されているのである。

また遺言で指定できるのは本人死後のいわゆる一次相続のみである。本人が指定した相続人が、将来死亡した場合に次の相続(二次相続という)以降の方法を指定することが出来ないのだ。

この遺言制度の限界を補うのが、近年広まりつつある[ エ ]である。[ エ ]とはいったん親たる本人の財産を信託財産として受託者(例えば子)に託す。その信託財産は受託者たる子の固有財産とは完全に分離して管理する必要があり、本事例では親たる(委託者)のために使う。

(選択肢1~20記載省略)

行政書士試験/法令 記述式

続いて行政書士試験の法令科目、記述式について解説します。行政書士試験の法令科目、記述式で出題される「法令」は先にご説明した五肢択一、多肢択一と同様の、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学です。

行政書士試験の法令科目、記述式は、出題に対する回答を40文字程度で記述して回答する形式です。回答枠は45文字分あることから、35文字~45文字で回答すべきであると理解するのが妥当でしょう。

法令科目 記述式出題例

(設例記載省略)

上記の設例において債務者Aに「同時履行の抗弁権」が認められる理由を、40字程度で記述しなさい。

1問あたり20点と高い配点であり、これが3問出題されるため、合計60点となります。行政書士試験の法令科目、記述式では、1問あたり20点が配点されるため、いくつかの論点を記述することで得られる「部分点制度」が存在すると言われています。従って、確実な回答に自信がない場合でも部分点を狙うためにも白紙で提出することは得策ではないと言えます。

ちなみに、この「部分点制度」の仕組みは試験の管轄団体である一般社団法人行政書士試験研究センターでは公表されていないため、あくまで予測である点にご留意ください。

☑法令科目を整理

ここまで説明してきた行政書士試験の法令科目を整理します。

五肢択一式 各4点×40問=160点
多肢択一式 各2点×4つの空白×3問=24点
記述式   各20点×3問=60点
合計 244点

ここで得点が122点に届かなかった場合、後半で説明する一般知識の五肢択一式で、どれだけ高得点を取れたとしても不合格となります。(令和2年度 行政書士試験合格基準)

行政書士試験/一般知識 五肢択一式

最後に、行政書士試験の一般知識、五肢択一式について解説します。行政書士試験で問われる一般知識の出題範囲は、

政治・経済・社会
情報通信・個人情報保護
文章理解

の3分野です。私が受験した1999年当時は、「第一次世界大戦」や「ヴェルサイユ条約」など、「これが行政書士試験と何の関係が?」という純粋な歴史問題が出題されていましたが、近年の行政書士試験の一般知識の出題は、上記3分野(政治・経済・社会)での時事問題が中心となっています。

五肢択一式で出題され、1問あたり4点、合計14問出題されるため、この部分で56点の配点となります。

一般知識科目 五肢択一出題例

「小選挙区比例代表制」に関する次のア~オの記述のうち、正しいものはどれか。

(選択肢ア~オ記載省略)

☑一般知識科目を整理

ここで得点が24点に届かなかった場合、前半で説明した法令科目(合計244点)で、どれだけ高得点を取れたとしても不合格となります。(令和2年度 行政書士試験合格基準)

このコラムのまとめ

以上が行政書士試験の内容と出題形式です。もう一度ポイントを表で整理しておきます。

試験科目 出題形式 配点 出題数 得点
法令科目 5肢択一式 4 40 160
多肢択一式 2×4 3 24
記述式 20 3 60
  46 244
一般知識科目 5肢択一式 4 14 56
合計   60 300

令和2年度行政書士試験の合格基準は次の通り設定されました。

総合得点で300点中180点以上
ただし法令科目で122点、一般知識で24点未満の者を除く

自分にもやれそう、と思った方は今すぐ行政書士試験の受験準備を始めましょう。試験申し込みの期限は毎年8月下旬、試験日は11月の第2日曜日です。